EMOの代名詞でもある作品の1999年リリースの1stアルバム、時間を置いての再結成ながらMike Kinsellaをはじめとするメンバー全員が地続きで音楽活動を止めずにそれらを結晶化させた2016年リリースの2ndアルバム、そしてその流れを踏襲するだけでは無い可能性に満ち溢れたこの2019年リリースの3rdアルバム、多くの人のトピックとなる多くの要素が含まれた作品です。
全体の作風としては持ち味の変則チューニング特有のコード感とクリーントーンの鳴り気持ち良いギターアルペジオが牛耳るエモサウンドを基調にしながらもヴィブラフォンも多用する浮遊感あるシカゴバンドならではのポストロックなサウンドプロダクションはドリームポップにも聴こえたり、更に少しシューゲイズ感も自動的に足した現在のUSインディーのトレンドにも充分対応した良い所取りの充実した内容で、そしてOWENで絶え間なくグッドソングを量産してきているだけあるMikeのメロディーがそのバックトラックに全く負けていないのが最大の強み、しかも相当に涙腺を緩まさせるメソッドは彼のキャリアの中でも一際際立っています。3人の女性ヴォーカル、Elizabeth Powell (LAND OF TALK)、Hayley Williams (PARAMORE)、Rachel Goswell (SLOWDIVE)を迎えた確信犯的な配置にも今回の綿密なコンセプトを感じさせます。まだまだ引き出しを感じさせる、百戦錬磨熟練者のみの発することのできる大人のエモ、ただただ名盤。