アイスランドの至高ポストロックバンドSigur Rós。前作より約10年の時を経て2023年リリースの8thアルバム。前作「Kveikur」の頃とは社会情勢も大きく変化しドラマーOrri Dyrasonが脱退やマルチ・インストゥルメンタリストのKjartan Sveinssonの復帰などバンドにも変化はある中で今作はより繊細で内省的な重みのある印象を受けるのは、Jonsiのファルセットが少し陰鬱さにウエイトが傾いたからなのかもしれないし、アンビエンスパートの幽玄な広がりによって底の見えない恐怖が影響している気もする。それは今作発表のタイミング、アートワークから解釈できるメッセージに起因するしリスナーの数だけその意味も存在するという性質に似ている...多様な世界に讃美歌の如く響くSigur Rósの渾身の新作、現代ポストロック〜アンビエントの極地点。