mouse on the keys / Pointillism CASSETTE

川昭率いる東京のインストポストロックバンド「mouse on the keys」の2023年リリース、11曲入り。今までの作風とは違う現代音楽、ミニマルミュージックへ向かう異色作。最小限の音で構成される独特なシチュエーションでのアンビエンス、そこに見事に合致した楽曲、motkとしても聴き劣りしないクオリティー、新しい可能性を秘めた作品。

【イントロダクション】 今作は、2023年2月長野県松本市で開催されたマツモト建築芸術祭において「mouse on the keys: Pointillism」として発表されたものを元に構成されている。「Pointillism」と いうタイトルは、3人のメンバーから発せられる音によって点描画のように音楽を作りあげたいという思いから名付けられた。そもそもこの企画は、マツモト建築芸術祭・おおうちおさむプロデューサーのアイデア(数日でライブ1本分の楽曲を公開制作し、ライブで発表する)から始まった。はじめは躊躇したものの、バンドの新たな方向性が掴めるはずだと出演を決めた。 松本市中町・蔵シック館で3日間(実質トータル15時間)制作、最終日に同市・信毎メデ ィアガーデンにてライブでの発表が計画された。緻密に作曲し、練習に時間をかけライブを行ってきたmouse on the keysにとっては、異例の条件(有観客での制作、音量や 制作時間の制限など)が突きつけられた。かつて造り酒屋の屋敷(1888年築)であった 木造2階建ての蔵シック館には、いっさい防音が施されていない。楽器の選定について も異例づくしで、音量制限に対応するために、プリペアドピアノやリサイクルショップで調達した日用品が使用された。さらに、新留大介のソロでお馴染みのElektron Octatrackや制作では初登場となるエレクトリック・ベースが加えられた。母屋の玄関を制作スペースとし、土間から板の間にかけて楽器を設置した。 土間上の天井はかなり高く、マス目状に組み上げられた梁が特長の吹き抜けがあり、グラスや鍋の音が天然のリヴァーブによって心地よく響いた。電気楽器の音量は、アンプラグドの響きに馴染むよう注意が払われた。1音鳴らすだけで音が充満してしまうこの空間では、3人の演奏が自ずと点のようになっていった。音を増幅させることを前提に作られた楽曲とはまた一味違う、しなやかでエキサイティングな楽曲が立ち現れた。制作から発表までの全行程をアンビソニックス方式マイクによる360°録音とiPhoneで録音し、それらをミックスさせた。その中から9トラックが厳選され、録り音そのままのもの、エディットやエフェクトを施したものなどがトラックリストに並べられた。これだけ手軽に、15時間で今作を生みだすことが出来たということは、バンドにとって楽曲制作のパラダイムシフトが起きたと言える。今作は、mouse on the keysの未来への架け橋だ。これからが楽しみである。 川昭 (mouse on the keys)
  • Label:FRACTRECK
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