USカリフォルニアのオルタナエモバンド「POT VALIANT」の待望のディスコグラフィがNUMEROよりリリース。'93年にLOOKOUT RECORDSとSUNNY SINDICUT RECORDSからリリースされた7インチ2枚と'94年の唯一のアルバム"Transaudio"に加え、未発表曲や前身バンドVAGRANTSの楽曲も収録した充実の内容となっています。 地元バークレーのパンクシーンの中心的場所であり、ボランティアによって運営されていたDIYクラブ"ギルマンストリート"との結び付きも深いバンドで、JAWBREAKERやSAMIAMといったベイエリアのインディパンクシーンからの影響も存分に受けつつも、ジャングリーなリフと囁くような気怠いヴォーカル、粒の粗いラフな質感のギターが唸る轟音パートなどを取り入れ独自路線を開拓。パンク/ハードコアシーンが出自にありながら一筋縄ではいかないセンスとサウンドを兼ね備えた稀有な存在のバンドであり、今回のNUMEROによるディスコグラフィ化によって更なる再評価を促す事になるはず。B面後半には80年代後半に同じメンバーにて結成された前身バンドVAGRANTSの楽曲も収録されており、こちらはややゴスい雰囲気を纏ったポストパンク的なエッセンスも感じさせられる演奏と、しゃがれ気味なヴォーカリゼーションが組み合わさった過渡期ならではの作風で興味深いです。 また、C-6"Cell"といった本作でしか聴くことの出来ない貴重な未発表音源も収録。当時のフライヤーや貴重な写真が掲載された20Pのブックレットも付属するなど、まさに完全保存版ともいえる豪華な内容となっております。HUM、SHINERやCALM、SEAMからCLOAKROOM等とも共鳴するオルタナエモの系譜の知られざる歴史の一頁。(kani)