RODAN、CODEINE、HOOVER、LUNGFISHといった90年代USインディー/ポストハードコアの重要系譜が交錯して生まれた異能集団、「JUNE OF 44」による1999年発表の4thにしてラストアルバムがQUARTERSTICKから。ポストロック/マスロックという語が未だ定義の途上にあった時代、その輪郭そのものを書き換えた終着点として位置づけられる一枚です。本作最大の特徴は、従来の“ポストSLINT”的な緊張感からさらに踏み込み、リズムそのものを主旋律化したかのような構築性へと大きく舵を切っている点にあります。特にDoug Scharinのドラミングは圧巻で、後のHiMやMICE PARADEへと接続されるポリリズミックかつ有機的なアプローチの萌芽が、ここで既に明確に刻まれています。批評筋でも本作は、リズムセクションの存在感が際立つ転換作としてしばしば言及されていました。しかし単なる“リズム偏重”に終わらないのがJUNE OF 44の恐ろしいところ。Jeff Muellerのエモーショナルな歌心と鋭利なギターリフ、Sean Meadowsによる空間を切り裂くギターワーク、そしてFred Erskineのベース/ブラスがもたらすジャズ的/ダブ的な色彩感覚が複雑に絡み合い、ハードコア以後でしか成立しえない抽象性と肉体性を見事に同居させています。ハードコアの切迫感、ジャズの即興性、ファンクのグルーヴ、ダブの空間処理...それらを単なる引用や装飾としてではなく、“バンドの血肉”として統合している点にこそ本作の真価があります。その結果として鳴っているのは、ポストロックでもマスロックでも括りきれない、JUNE OF 44にしか成し得なかった異形のアンサンブルです。すでに発表から20年以上を経た作品でありながら、その音像はいまなお驚くほど先鋭的で、少しも風化を感じさない大名盤。