フランスのポストロック/マスロック/ノイズロックデュオ 「CHEVREUIL」の2006年にstiffslackからリリースされた5曲入りEP。同時期に フランスのRUMINANCE およびUSのSICKROOMからリリースされた4thアルバム”Capoëira”とコンセプト的に連動しており、両作を並行して聴くことで、その設計思想と音響的実験の全体像がより鮮明に浮かび上がります。EPというフォーマットながら、日本独自のマスロック文脈でも強い存在感を放つ一作であり、その内容は決して補助的なものではなく、むしろ彼らのコアを鋭利に切り出した重要作と言えます。ギター/ドラムという最小編成に徹しながら、4台のアンプを用いた空間配置によって構築されるサウンドは、単なるデュオの枠を完全に逸脱しています。プロデュースは Steve Albini、彼のスタジオでもあるシカゴのELECTRICAL AUDIOで録音された本作は、過度な演出を排しつつも、彼らの特異な音響をそのまま封じ込めることに成功しており、CHEVREUILの持つ物理性と構造性を極めてクリアに提示しています。ギターはループや反復を通じて多層化し、あたかも複数のプレイヤーが同時に存在するかのような錯覚を生み出しながら進行。それらはオーバーダブに頼らない一発録りで成立しており、音源とライブの構造が完全に一致している点も特筆すべき特徴です。5曲入りEPとはいえ内容は極めて濃密で、その怪しい覆面ジャケットに象徴されるように、音響実験とユーモア、そしてどこか不穏なコンセプトが同居しています。Capoëira と対になるもうひとつの側面として、本作はCHEVREUILの方法論をより鋭く、そしてダイレクトに体感させる重要なピースとなっています。