シカゴのインディー/ポストロック・シーンを象徴するプロジェクトとして知られる「THE SEA AND CAKE」の1997年発表の4thアルバムが、オリジナル同様THRILL JOCKEYより再発。メンバーには、THE COCTAILSのArcher Prewitt、SHRIMP BOATのSam PrekopとEric Claridge、そしてTORTOISEのJohn McEntireが名を連ねており、当時のシカゴ周辺のインディー/ポストロックシーンの人的ネットワークを象徴する布陣となっています。Sam Prekopによるウィスパー気味の柔らかなヴォーカリゼーションも本作の大きな魅力のひとつ、軽やかでどこかイノセントな響きを帯びた歌声は、ジャズやR&Bに由来する洗練されたリズム感覚やメロディ感覚と自然に溶け合い、バンドのサウンドに独特の浮遊感を与え、John McEntireによるプロダクションは音数を抑えたミニマルなアンサンブルを基調としながら、精緻なポストプロダクションを施すことで音像に立体感と透明感をもたらすその手腕は、しかし決して前面に出過ぎることなく、あくまで“隠し味”のような形で機能しています。こうした、ポップで親密なソングライティングと実験的スタジオワークの絶妙なバランス感覚こそが、本作を単なるインディーロック作品にとどまらない存在へと押し上げている要因となります。ソフトロック、ポストロック、ジャズ的感覚が静かに交差するこの佇まいは、ジャンルを越えて多くの音楽ファンを魅了し続けてきた所以でもあり、シカゴシーンの豊かな創造性を象徴する名作として長く語り継がれている大名盤。