SUNNY DAY REAL ESTATE / Diary 2xLP SUNNY DAY REAL ESTATE / Diary 2xLP
SUNNY DAY REAL ESTATE / Diary 2xLP SUNNY DAY REAL ESTATE / Diary 2xLP

SUNNY DAY REAL ESTATE / Diary 2xLP

USシアトルのオルタナティブロック/エモロックを語るうえで絶対に外すことのできない殿堂、SUNNY DAY REAL ESTATE。1994年にSUB POPからリリースされた1stアルバム『Diary』の再発盤。グランジ旋風の中心地だった90年代前半のシアトルから登場し、NIRVANA、SOUNDGARDEN、MUDHONEYらを送り出したSUB POPからのリリースということもあり大きな注目を集めましたが、その音楽性は当時シアトルを象徴していたグランジとは明らかに異なる方向を向いていました。轟音や攻撃性を前面に押し出すのではなく、内側へ深く沈み込んでいくセンシティブな感情、静と動を大きく行き来するダイナミクス、そして何よりJeremy Enigkの圧倒的なメロディーセンス。後に「エモ」を象徴することになる要素が、この時点ですでに驚くほど完成された形で存在しています。Dan HoernerとJeremy Enigkによる2本のギターは、単純なコードストロークや轟音の壁を作るのではなく、それぞれ異なるフレーズを弾きながら複雑に絡み合い、時に鋭く、時に繊細なアルペジオとなって楽曲の感情を増幅。そこへNate MendelのベースとWilliam Goldsmithの大振りでありながら細部まで神経の行き届いたドラムが加わり、重量感と浮遊感を同時に持った独特のミッドテンポのグルーヴを生み出しています。そして決定的なのがJeremy Enigkのヴォーカル。囁くような繊細さから、一気に感情を解放する絶唱、ファルセットまでを行き来しながら、単なる激情では終わらない圧倒的な歌心で楽曲を牽引します。涙腺を緩ませるようなメロディーと、言葉だけでは説明しきれない感情の揺らぎ。それを緻密なギターアンサンブルと巨大なダイナミクスで包み込んだサウンドは、後続のエモバンドが繰り返し参照するひとつの原型となりました。1994年という時代を考えれば、その特異性はさらに際立ちます。グランジ/オルタナティブロックが巨大なマーケットへと膨張していたシアトルで、同じギター、ベース、ドラムという編成を使いながら、SUNNY DAY REAL ESTATEが鳴らしていたのはより内省的で、壊れそうなほど繊細なロックでした。当時のグランジ勢と比較すると派手さに欠け、ある意味では地味に映ったその音楽が、数年後にUS各地でエモが大きな潮流となるにつれて再発見され、『Diary』はジャンルそのものを定義する作品のひとつとして巨大な存在感を持つようになります。MINERAL、THE PROMISE RING、TEXAS IS THE REASON、CHRISTIE FRONT DRIVEらへと続いていく90年代エモの広がりを考えるうえでも、その少し前にシアトルから登場したSUNNY DAY REAL ESTATEの存在は極めて重要。ハードコアから派生したエモの感情表現を、より壮大でメロディックなオルタナティブロックへと接続し、その後のエモロックのひとつの基準を作り上げました。再発盤には、1993年にバンド自身がリリースした7インチ『Thief, Steal Me A Peach』から2曲をボーナストラックとして追加。まだ荒削りだった初期衝動から『Diary』へと至る流れまでを補完する内容となっています。巧みにフックを効かせながら絡み合う2本のギター、大振りながら繊細さを失わないリズム、静寂から轟音へ一気に振り切れるダイナミクス、そしてJeremy Enigkによる神懸かったメロディーメイクとヴォーカリゼーション。そのすべてが奇跡的なバランスで結びつき、何度聴いても脳内にこびりついて離れない。90年代USオルタナティブからエモへと時代が移り変わる重要な地点に刻まれた、歴史的マスターピースです。
  • Label:SUB POP
  • Price:6,880 円
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