RED HOT CHILI PEPPERSのベーシスト「Flea」による2026年リリースのソロアルバム。これまで数多くのEPやコラボレーション、客演を重ねてきた彼にとって、Flea名義として初めて本格的に提示されたアルバム作品です。本作の特徴は、ベーシストとしての技巧を前面に押し出すのではなく、各楽器の絶妙な配置と配分、そしてシンプルなフレーズの反復によって構築されるアンサンブルにあります。空間や音響への意識が強く反映されたサウンドの中で、Fleaのベースはあくまで楽曲全体の一部として機能し、過剰な主張を抑えた“引き算”の美学が貫かれています。音楽性としては、ジャズや現代音楽的な要素が穏やかに流れ込み、即興的な響きと緻密に設計された構造が共存。それぞれの楽曲は独立しながらも、有機的な連なりの中でアルバム全体のコンセプトを浮かび上がらせています。かつてのパンキッシュな衝動やファンク由来のグルーヴは直接的には表出していませんが、それらを通過したからこそ到達した静謐で成熟した表現が、本作には確かに刻まれています。また、Thom YorkeやNick Caveをはじめ、Josh Johnson、Jeff Parker(TORTOISE)、Anna Butterssといった錚々たる面々が参加。これまでの活動を通じて築かれてきた人脈が結実し、楽曲ごとに豊かなケミストリーが生まれています。結果として今作は、Fleaというプレイヤーの新たな側面を提示するだけでなく、彼のキャリアの集積が静かに結晶化した作品として位置付けられるでしょう。
※インディーショップエクスクルーシブレッドカラーヴァイナル。