シカゴのインストゥルメンタルポストロック/マスロックバンド 「MERIT BADGE」 による6曲入りEPが、INTO IT. OVER IT. のEvan Weiss主宰レーベルSTORM CHASERSより2026年にリリースされました。本作は、Adam Beck (INTO IT. OVER IT.、BROWNIE MOUNTAIN)とLogan Bloom (RECREATIONAL DRUGS、BROWNIE MOUNTAIN)を中心としたプロジェクトであり、2016年に録音されながらも長らくお蔵入りとなっていた音源を掘り起こし、リミックスおよびリマスターを施したうえで正式に作品化されたものです。Evan Weiss自身の強い思い入れも反映された意味合いを持つリリースとなっています。2010年代シカゴのインストゥルメンタルポストロック/マスロックシーンにおいて中核的役割を担った BROWNIE MOUNTAIN から派生した本プロジェクトは、その延長線上にありながらも、より簡潔で機動力の高いアプローチへとシフトしています。複雑な変拍子やポリリズムを基調としつつも、過剰な技巧主義には陥らず、パンク由来の初速と軽やかさを内包したサウンドが特徴です。文献的に見ても、シカゴのポストロック/マスロック発生以降、構築性と実験性の両軸で発展してきましたが、2010年代以降はよりDIY的で内省的な潮流が強まり、ローカルコミュニティに根差した小規模プロジェクトが多く生まれています。MERIT BADGE もその文脈に位置付けられ、特に TERA MELOS や LOOSE LIPS SINK SHIPS に通じる断片的かつ跳躍的なフレージングと、ミニマルな編成による空間的な配置感覚が顕著です。また、本作に収録された楽曲群は、タイトルにメンバーお気に入りのバーや飲食店の名前が冠されている点からも明らかなように、彼らのシカゴ移住後の生活圏と密接に結びついています。未完成のまま埋もれていた音源を現在の文脈へと接続し直すアーカイブ的価値と、シカゴマスロックの一断面を記録するドキュメントとしての意義を併せ持つ、極めて重要なリリースであると言えるでしょう。