BONNIE "PRINCE" BILLY / We Are Together Again CD

USケンタッキールイビルのシンガーソングライター、”Will Oldham”のソロ名義、PALACE以降は「Bonnie "Prince" Billy」の名義となる2026年の作品がNO QUARTERからリリース。SLINTをはじめとするルイビル周辺の地下音楽シーンとも地続きにありながら、Bonnie "Prince" Billyの音楽は、より剥き出しの歌、語り、沈黙へと向かう独自の道を歩んできました。PALACE名義以降、一貫してフォーク~カントリーの伝統を基盤としながら、その内側から更新を試みてきた彼の作家性は、本作においても揺るぎなく提示されています。簡素なアコースティック編成を軸に据えつつも、演奏の“間”や声の揺らぎを積極的に取り込むことで、楽曲は完成された形というよりも、生成され続けるプロセスとして立ち現れます。特に印象的なのは、ヴォーカルの扱いです。歌唱は技巧的に整えられることを拒むかのように、あえて不安定さや揺らぎを内包したまま提示されており、それがリリックの内省性と強く結びついています。結果として、聴き手は“楽曲を聴く”というよりも、“語りの場に立ち会う”ような感覚を喚起されます。過去作に見られたアメリカーナ的叙情に加え、より削ぎ落とされたミニマリズムが前景化しています。音数を限定することで、言葉と旋律の関係性がより露わになり、彼のソングライティングの核が浮かび上がる構造となっています。本作はBonnie "Prince" Billyという名義が持つ長い時間の蓄積を背景にしながらも、なお更新を続ける表現として提示された一枚です。過去と現在を接続しつつ、そのどちらにも回収されない“現在進行形のフォーク”としての強度を備えています。
  • Label:NO QUARTER
  • Price:2,280
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