EL TEN ELEVEN / Nowhere Faster LP(YELLOW) EL TEN ELEVEN / Nowhere Faster LP(YELLOW)
EL TEN ELEVEN / Nowhere Faster LP(YELLOW) EL TEN ELEVEN / Nowhere Faster LP(YELLOW)

EL TEN ELEVEN / Nowhere Faster LP(YELLOW)

2000年代初期から活動しているUSカリフォルニア/LA拠点に活動する2ピースポストロックバンド「EL TEN ELEVEN」の2026年作の11thアルバムがJOYFUL NOISEより。長年にわたり一貫して追求されてきた“人力による拡張”というコンセプトは、本作においてさらに洗練されています。ダブルネックギターを軸に、ループ/タッピング/リアルタイム処理を駆使することで、2人編成とは思えない多層的なサウンドスケープを構築するその手法は、もはや彼ら独自の演奏言語として確立されていると言えます。ポストロックのダイナミズムとエレクトロニカの反復性を横断する構造は、初期作品からの系譜を引き継ぎつつも、より滑らかで統合的なものへと更新されています。アルバム前半では、歪みを伴ったギターのレイヤーとタイトなビートがせめぎ合うことで、いわゆる轟音ポストロック的な高揚感を提示。一方で中盤以降には、アンビエント〜ミニマルへと接続するトラックが配置され、音数を削ぎ落としながらも時間の推移そのものを音楽として提示する構成が印象的です。これらの対比は単なる起伏に留まらず、“構築と解体”という彼らの美学をより明確に浮かび上がらせています。特筆すべきは、エレクトロニックミュージックに接近しながらも、あくまで生演奏主体である点です。プログラミングに依存することなく、身体性を伴った反復と変化によってトラックを推進させるアプローチは、TORTOISE以降のポストロック〜IDM的文脈とも共振しつつ、同時にライブ再現性という観点においても高い完成度を維持しています。ハイペースなリリースを重ねながらも、その都度アップデートを怠らないEL TEN ELEVENですが、本作は、その集大成というよりもむしろ“現在進行形の最適解”と呼ぶべき一枚です。ポストロック、マスロック、エレクトロニカといった複数の文脈を横断しながら、それらを自らのフォーマットへと還元していくその手腕は、同時代のインストゥルメンタルミュージックの中でも依然として特異な位置を占めています。
  • Label:JOYFUL NOISE
  • Price:4,480
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