BIG BLACK、RAPEMANを経てSteve Albini(rip)が到達した“最終形”とも言うべきトリオ、「SHELLAC」の、2000年発表の3rdアルバム。AMPEX製オープンリールのパッケージを模したジャケットが象徴する通り、本作はその音像からしてすでに異様です。徹底したアナログ録音によって捉えられたサウンドは、単なる“生々しい”という言葉では到底足りず、弦の軋み、ドラムヘッドの震え、アンプの空気圧までもが剥き出しのまま刻み込まれています。しかしSHELLACの真価は、その異常な音響精度を誇示ではなく削ぎ落としの美学へ転化している点にあります。無駄を徹底排除した硬質なリフ、研ぎ澄まされた反復、張り詰めた“間”、そのすべてが冷徹な構築美として機能しながら、同時に凄まじい暴力性を放っています。理性で制御された狂気、知性を帯びた獣性。その相反する要素をここまで高次元で同居させたバンドは他に存在しません。流行や文脈と完全に断絶しながら、それでもなお時代を更新してしまう圧倒的孤高さ。本作はSHELLACというバンドが“唯一無二”である理由そのものを刻みつけた金字塔です。