SUPERCHUNKやARCHERS OF LOAFと並びUSノースカロライナ州チャペルヒルシーンを代表する「POLVO」による1996年作の3rdアルバム”Exploded Drawing”。MERGEからTOUCH AND GO移籍後に発表された本作は、全16曲/約60分というスケールで展開され、従来のオルタナ/マスロック的アプローチを拡張する野心的な内容となっています。変則チューニングと不規則なリズムを軸にしながらも、単なるマスロックの文脈には収まりきらず、ブルース、東洋音楽、フォーク、アンビエントといった多様な要素を横断し、それぞれの楽曲に予測不能な展開をもたらしています。 その結果、ギターという楽器の可能性を極限まで拡張したような音響世界が構築されており、“既存のロックの語法を解体し再構築する試み”としても極めて先鋭的です。ノイズとメロディのせめぎ合いという90年代インディーの基本構造を踏まえつつも、その均衡は常に不安定で、楽曲はねじれ、崩れ、再び組み上がっていきます。レビューでも”オルタネートチューニングと歪んだリズム、ポップなフックが交差する異様な領域に到達している”と評されるように、その音楽性は当時の同時代バンドからも一線を画していました。また、本作は“USインディーにおけるホワイトアルバム的作品”とも称されるなど、そのスケールと多様性において特異な位置を占めています。 60分に及ぶ音像は、分裂と統合を繰り返す巨大な振り子のように揺れ動き、サイケデリックな浮遊感からポストハードコア的な緊張感までを横断。結果として、90年代インディーの到達点のひとつとして再評価され続けています。Bob Westonの冴え渡るエンジニアリングは、本作の複雑に絡み合うアンサンブルを過不足なく捉え、各パートの輪郭を明確に浮かび上がらせることで、その緻密な構造と音響的奥行きをより際立たせています。