ISIS / Wavering Radiant 2xLP

USボストン出身のポストメタル/エクスペリメンタルロックバンド、「ISIS」による通算5作目のアルバム”Wavering Radiant”は、2009年にIPECACからリリースされ、2026年に同レーベルより再発された作品です。バンド最終作に位置づけられる本作は、カオティックハードコアを起点にポストロック的構築美を導入してきた彼らの方法論が、ひとつの完成形として結実した作品として広く評価されています。前作”In The Absence Of Truth”で顕著となったアンビエント性や音響的拡張は本作においてさらに深化し、重厚なリフと静謐な空間処理がより有機的に結びついています。反復とビルドアップを軸とした長尺構成は維持されつつも、各パートの配置や音の引き算が徹底され、緊張と解放のコントラストは一層洗練された印象を与えます。また、Aaron Turnerのヴォーカル/ギターワークに加え、キーボード/エレクトロニクスのレイヤーがより前景化することで、従来の“ヘヴィネス”は単なる質量ではなく、空間そのものとして知覚される領域へと移行しています。その音響的アプローチは、UKのMOGWAIやカナダのGODSPEED YOU! BLACK EMPERORに代表されるポストロック的ダイナミクスとも共振しつつ、より重量と持続性を伴った独自の地平を切り拓いています。文脈的には、NEUROSIS以降に形成されたポストメタルの系譜を継承しながらも、その枠組みを拡張し続けたISISの集大成と位置づけることができ、本作以降のPELICANやRUSSIAN CIRCLESといったインスト系ポストメタル勢、さらには広義のエクスペリメンタルロックにも多大な影響を及ぼしました。解散後の動向として、Aaron TurnerはSUMACにてより即興性とノイズ性を強化したヘヴィロックを展開しISISで提示された音響的探求を各方向へと発展させています。こうした派生を含めても、”Wavering Radiant”は単なる最終作にとどまらず、ひとつの時代の終焉と次なる拡張への起点を同時に刻んだ重要作と言えるでしょう。
  • Label:IPECAC
  • Price:6,880
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