USオレゴン州ポートランド拠点の Matthew Robert Cooper によるプロジェクト 「ELUVIUM」 の”Virga III”は、シリーズ第3作目にして通算9作目のTEMPORARY RESIDENCEからリリース。前作の不穏で濃密な音像から一転、安息とも言える透明度の高いサウンドへと転じています。都市の隙間に存在する小さな緑地や排水路、日常の中に潜む微細な生態系を着想源に、ミクロとマクロを往還する視点を音響化。過去の録音を時間をかけて再解釈し、新たなレイヤーを加えていく“過去の自分とのデュエット”とも言える制作手法によって、音は直線的に進行するのではなく、滲み出すような時間構造を帯びています。アンビエント、ポストクラシカル、エクスペリメンタルを横断しながら、ミニマルな反復と微細な変化によって持続的な推進力を形成。ピークに依存しない構造と、ビート不在のグルーヴがポストロック以降の時間感覚とも接続する、内省的で高純度な一作です。TEMPORARY RESIDENCEのカタログにおけるエクスペリメンタル〜アンビエント部門を支える、重要なリリースとも言えるでしょう。