USオークランドのポストメタル/スラッジメタルの始祖 「NEUROSIS」 による約10年ぶりの12thアルバムが、自身のレーベルNEUROT RECORDINGSよりリリース。80年代後半、クラスト〜ハードコアパンク文脈から出発しながら、インダストリアル、トライバルミュージック、アンビエント、ドローン、ノイズ、さらには儀式性や精神性までも飲み込み、“ヘヴィネスそのものの定義”を書き換えてきたNEUROSISですが、本作は単なる復帰作ではなく、“再生”と“進化”を刻み込んだ極めて重要な作品となっています。最大のトピックは、ISIS〜SUMACで知られるAaron Turnerの正式参加でしょう。NEUROSISからISIS、PELICAN、CULT OF LUNA、RUSSIAN CIRCLESへ繋がっていくポストメタルの系譜を考えれば、今回の合流は単なるゲスト参加ではなく、“影響関係そのものが循環した瞬間”とも言えます。Turnerはヴォーカル/ギターのみならずアートワークも担当しており、ISIS〜HYDRA HEAD周辺で培われた抽象的かつ崩壊感を伴うヴィジュアル感覚も、本作の終末的世界観へ深く接続されています。本作は、“Through Silver In Blood” 的な圧殺感へ単純回帰するのではなく、“Fires Within Fires” 以降で強まっていた静けさや祈りの感覚をさらに深化。巨大なドローン、不協和音、トライバルなリズム、崩壊寸前のノイズが渦巻きながら、最終的には破壊ではなく“浄化”へ向かっていきます。Scott Kelly脱退以降の喪失感も色濃く反映されており、“欠落を抱えたまま進化するNEUROSIS”としての異様な緊張感が全編を支配。かつてのNEUROSISにあった“世界の終わり”の感覚というより、本作では“終わった後に残された精神の残響”のようなものが強く漂っています。録音は数多くのヘビーロックの名盤を手掛けてきた手掛けるScott Evansが担当。近年の整い過ぎたポストメタル作品とは異なり、本作には90年代NEUROSISに通じる“制御不能寸前の有機性”が強く戻っています。レビューでも“巨大なのに壊れかけている”“精神的重量として響くヘヴィネス”と評されており、単なる音圧や重低音ではなく、“感情のエクソシズム”として機能している点こそ本作最大の特徴でしょう。また、近年のポストメタル/アトモスフェリックスラッジ周辺が、美麗な空間処理やポストロック的カタルシスへ傾倒していく中、本作のNEUROSISはあくまで“不穏さ”や“制御不能な感情”を手放していません。SWANS以降の反復ミニマリズム、AMEBIX由来の黙示録的空気感、さらにはGODFLESHにも通じる“人間性の崩壊寸前”の感覚までも内包しており、単なるジャンルの始祖ではなく、“ヘヴィミュージックそのものの境界線”を今なお更新し続けている存在であることを改めて証明した一枚と言えるでしょう。