USミシガン州デトロイト出身のLOVESLIESCRUSHINGによるデビューアルバム"Bloweyelashwish" の1994年にPROJEKTからリリースした作品を2026年、NUMEROから発掘再発。Scott CortezとMelissa Arpin-Duimstraを中心に制作された本作は、1992年に自宅環境で録音され、12弦ギターと4トラックレコーダー、ループ、過剰なリバーブによって構築されています。シューゲイズからアンビエント/ドローン/ノイズへと接続する独自の方法論によって成立した本作は、ドラムレスで、ギターのエフェクトや効果音のみで構成されており、従来のシューゲイズ的“音の壁”をさらに抽象化した領域へと到達しています。音は旋律やリフとしてではなく、粒子状のテクスチャとして空間に拡散し、時間感覚を曖昧にしながら持続していく点も本作の大きな特徴です。その結果として生まれるのは、楽曲単位を超えた“音響空間そのもの”を体験させるようなリスニングであり、当時のインディー/シューゲイズ文脈の中でも極めて異質な存在でした。FENNESZ 以降のエクスペリメンタルアンビエントやドローン作品へと接続される流れを踏まえると、本作は単なる逸脱ではなく、”ポストシューゲイズ的思考”の原点のひとつとして位置づけられるべき重要作と言えるでしょう。しかしながら、こうした極めて埋もれていた作品に再び光を当て、現代における再評価を促すNUMEROの嗅覚と編集的視点は見事であり、そのアーカイヴ的意義も含めて、本作の再発は極めて重要な意味を持っています。