SWALLOW / Blow 2xCD
UKロンドンのカンバーウェルで結成されたドリームポップ/シューゲイズデュオ 「SWALLOW」 が、1992年に名門4ADから発表した唯一のアルバム”Blow”が、未発表音源や幻の別ヴァージョン集”Blowback”を加えた仕様で2026年/4ADからリリース。90年代初頭の4ADといえば、COCTEAU TWINS や THIS MORTAL COIL、LUSH、PALE SAINTS らが独自の美学を築き上げていた黄金期。その中でもSWALLOWは特異な存在でした。Louise Trehy と Mike Mason が自宅の4トラックMTRで録音したデモを4AD創設者 Ivo Watts-Russell が聴き、一度も顔を合わせることなく契約を決定。完成した Blow は、NINE INCH NAILS”Pretty Hate Machine”を手掛けた John Fryer をプロデューサーに迎え、Eventide Harmonizerを駆使した幻想的なサウンドへと昇華されました。甘く浮遊するメロディ、霞がかったギター、重力を失ったようなヴォーカル。そのサウンドはシューゲイズともドリームポップともアンビエントとも言い切れない独特の美しさを放っています。しかし当のバンドは完成作に満足していませんでした。より実験的でノイジー、そしてアンビエントな方向性を求めていた彼らは楽曲を再構築。その結果生まれたのが、熱心な4ADファンの間でのみ語り継がれてきた幻の作品 Blowback です。本作にはオリジナルの Blow に加え、 Blowback、さらに未発表曲x2も収録。オリジナル24トラックテープから新たにリミックスが施され、ようやく彼らが本来思い描いていた姿へと近づいた完全版と言える内容となっています。当時の4AD作品らしい耽美さを備えながらも、どこかDIYな粗削りさや実験精神が同居している点がSWALLOW最大の魅力。COCTEAU TWINS の夢見心地な浮遊感、LOVESLIESCRUSHING の音響的陶酔、SLOWDIVE の内省性、そして後年の GROUPER にも通じる孤独なアンビエンスを先取りしていたようなサウンドは、30年以上を経た今なお驚くほど瑞々しく響きます。シューゲイズやドリームポップの名盤として語られる機会は決して多くありませんでしたが、本作は間違いなく90年代4ADカタログの隠れた至宝。時代の霧の中に埋もれていた夢幻的傑作が、ようやく本来あるべき形で再評価される瞬間です。