UNWOUND / New Plastic Ideas LP(CLEAR)

USワシントン州オリンピアのポストハードコア〜ノイズロック最重要バンド「UNWOUND」の1994年にKILL ROCK STARSから発表した初期重要作”New Plastic Ideas”のNUMERO再発盤。今回はNUMEROのサイトのみで販売されていた30周年記念の全面クリア仕様盤が入荷しました。前作”Fake Train”で確立されつつあった荒々しい衝動と不穏な空気を、より鋭く、より構造的に研ぎ澄ませた一枚。Justin Trosperの独自チューニングによる不協和音ギターは、単なるノイズではなく、楽曲そのものを歪ませながら推進させる異様な骨格として機能しています。そこにVern Rumseyのうねるベース、そしてSara Lund加入後の緊張感に満ちたドラムが絡み、後のUNWOUNDが到達するミニマルで冷徹なアンサンブルの原型がここで一気に浮かび上がります。オリンピアという土地柄、KILL ROCK STARS、K RECORDS周辺のDIYインディー文化と地続きにありながら、彼らのサウンドはより暗く、硬く、切迫したものでした。FUGAZI以降のポストハードコアが持っていた間合い、反復、鋭角的なギターの使い方とも強く共鳴しつつ、UNWOUNDの場合はそこに太平洋岸北西部特有の湿ったノイズ感、グランジ以降の陰鬱さ、そしてハードコアの残響が混ざり合っています。Steve Fiskとの録音もその空気を決定づけており、ローファイでありながら各楽器の輪郭は異様なほど生々しく、閉塞感と緊張感がそのまま音像に封じ込められています。“All Souls Day”や“Entirely Different Matters”に代表されるディスコーダントな名曲群は、激情をストレートに爆発させるというより、抑圧された感情が歪んだリフと変則的なリズムの中でじわじわと崩壊していくような凄みがあります。メロディは決して前面に出すぎず、しかし不穏な余韻として深く残る。ノイズ、ポストパンク、ハードコア、インディーロックの境界線がまだ曖昧だった90年代前半だからこそ生まれ得た、張り詰めた美しさを持った作品です。後年の”Repetition”や”Leaves Turn Inside You”へと向かう完成されたUNWOUND像を考えると、本作はまさにその前夜。粗さと知性、衝動と構築性がせめぎ合う瞬間を捉えた、初期UNWOUND屈指の重要作です。
  • Label:NUMERO
  • Price:4,580
  • Qty :