WHIRR /Distressor CD

USカリフォルニアのシューゲイズバンド、「WHIRR」が2011年にGRAVEFACEより発表したデビューEP ”Distressor”が自身のレーベル FREE WHIRL より2026年に再発。後に世界中でカルト的とも言える絶大な人気を獲得し、2010年代以降のシューゲイズを代表する存在となる彼らの、すべての始まりを記録した全7曲入りの初期傑作です。後の”Sway”や”Feels Like You”で聴かせる圧倒的な重量感や深い内省とは異なり、本作を包んでいるのは、もっと瑞々しく、眩しく、そして切実な轟音。何層にも重なるファズギターはすでに巨大な音の壁を作り上げていますが、その奥から浮かび上がるのは、ドリームポップの甘美さと青春の記憶を呼び起こすような儚いメロディです。「Preface」の短いイントロから「Leave」へとなだれ込む瞬間、目の前の景色が一気に白い光で覆われるような感覚。「Blue」の淡く沈んだメランコリー、「Ghost」の浮遊するヴォーカルと轟音、「Meaningless」が描き出す圧倒的な高揚感。粗削りな衝動を残しながらも、音の重なり、静と動のコントラスト、そしてメロディの強さには、すでに後の WHIRR へとつながる確かな美学が刻み込まれています。MY BLOODY VALENTINE や SLOWDIVE をはじめとする90年代シューゲイズからの影響を感じさせながらも、単なるリバイバルには終わらない。ハードコアやパンクをルーツに持つメンバーならではの身体性と生々しいエネルギーが、幻想的なギターの残響と衝突することで、WHIRR にしか鳴らせない独特の緊張感を生み出しています。後の作品でより重く、暗く、スロウに深化していく WHIRR ですが、Distressor には、その完成されたスタイルへ向かう以前だからこそ生まれた、眩いほどの初期衝動があります。轟音の中にある甘美さ、ノイズの向こうから浮かび上がる切ないメロディ、そして一瞬で消えてしまいそうな儚さ。そのすべてを封じ込めた、WHIRR というバンドの原点にして、現在もなお特別な輝きを放ち続ける名作です。
  • Label:FREE WHIRL
  • Price:2,880
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