TITLE FIGHT / Floral Green LP

USペンシルベニア州キングストン出身のメロディックハードコア/エモバンド「TITLE FIGHT」が2012年にSIDEONEDUMMYからリリースした2ndフルアルバム“Floral Green”。1stアルバム“Shed”によって、2010年以降のUSハードコアに新たな流れを作った彼らが、その衝動を保ちながら音楽的な視野を大きく広げた重要作。前作にあったLIFETIME、KID DYNAMITE、SAVES THE DAY直系の性急なメロディックハードコアを軸にしつつ、90年代オルタナティヴロック、エモ、ポストハードコア、シューゲイズの質感を大胆に導入。喉を削るようなヴォーカルと激しく踏み込むビート、胸を締め付けるメロディというTITLE FIGHT本来の魅力を残しながら、歪んだギターの残響や静寂、反復、音の余白までを楽曲の一部として機能させています。その変化を象徴する“Head In The Ceiling Fan”は、スローダウンしたリズムと霞んだギター、囁くようなヴォーカルが漂うバンド屈指の名曲。ハードコアバンドがシューゲイズの音響を表面的に借りたのではなく、内向的な感情や倦怠感を表現するための必然として、その音像を自分たちのものへと変換しています。一方で“Numb, But I Still Feel It”、“Secret Society”、“Sympathy”などには、初期から受け継いだ焦燥感とシンガロングを誘う爆発力が濃厚に残され、静と動の振れ幅がアルバム全体へ鮮烈なコントラストを与えています。“Shed”の荒々しいメロディックハードコアから、彼らの最終作品“Hyperview”で完成形を迎えるシューゲイズ/ドリームポップを通過したオルタナティヴサウンドへ。その変化の中心に位置する本作は、初期衝動を捨てずに新しい表現を獲得していく瞬間を記録した一枚。ハードコア、エモ、ポップパンク、シューゲイズという本来別々に語られていた音楽を同じ地平へ引き寄せ、2010年代以降のUSハードコアにおける価値観と音楽的な自由度を大きく更新しました。単なる過渡期ではなく、TITLE FIGHTの荒々しさ、切実さ、メロディ、音響的な実験性が最も絶妙なバランスで共存した作品。後続のメロディックハードコア、エモ、シューゲイズ、オルタナティヴロックバンドへ計り知れない影響を与えた、USハードコアの2010年代を代表する名盤です。
  • Label:SIDEONEDUMMY
  • Price:4,880 円
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