USロサンゼルスを拠点に活動する作曲家/シンガーソングライター「JULIA HOLTER」による2026年作“Materia”がDOMINOからリリース。2024年の傑作“Something in the Room She Moves”の制作時期に生まれた楽曲、ツアーの合間にバンドと録音した新曲、同作収録曲の再構築ヴァージョンで構成された、続編とも対になる全7曲のコンパニオンアルバム。前作で探求した身体、流動性、精神と物質の結びつきというテーマを引き継ぎながら、室内楽、アンビエント、電子音楽、ジャズ、即興演奏をさらに自由な感覚で横断。ドラムマシン、フレットレスベース、クラリネット、ウーリッツァー、重層的なヴォーカルなどが有機的に結びつき、決まったジャンルや形式へ着地することなく、常に形を変え続ける流動的な音響空間を作り上げています。楽曲を明確な輪郭へ閉じ込めるのではなく、僅かな音の揺らぎや声の重なり、残響、沈黙までを重要な構成要素として扱い、ひとつの旋律や和音に潜む複数の可能性を丁寧に引き出していく作風。即興演奏から生まれた断片が別の楽曲へ発展し、完成された作曲と偶発的な演奏の境界が曖昧に溶け合うことで、音楽が目の前で生成され、変形していくような感覚をもたらします。全7曲というコンパクトな構成ながら、ミニマルな電子音、幻想的なアートポップ、現代音楽的なハーモニー、室内楽の繊細なアンサンブル、声を素材として扱う実験性が濃密に共存。各曲が異なる表情を持ちながらも、アルバム全体は途切れることのないひとつの夢のように連なり、精神と身体、愛と血、記憶と現在といった抽象的なイメージが、具体的な音の質感として浮かび上がります。“Something in the Room She Moves”の余韻や断片を整理したアウトテイク集ではなく、前作から枝分かれしたアイデアを別の角度から育て、独立した作品世界へ到達した一枚。Kate Bush、Laurie Anderson、Robert Wyatt、Meredith Monkなどにも通じる実験性と、ポップソングとしての親密さを共存させながら、音楽が形を得る直前の不定形な瞬間まで封じ込めた、JULIA HOLTERの探究心が濃密に刻まれた作品です。