USテキサス州エルパソで結成され、現在はオースティンを拠点に活動するサイケデリックロックバンド「HOLY WAVE」による2026年作“i’m Dada”がSUICIDE SQUEEZEからリリース。これまでの作品で聴かせてきた、焦点のぼやけたヴォーカル、幾重にも重なるファズギター、陽炎のように揺れるサイケデリックな音像は保持しながら、その陶酔感をより引き締まったリズムと反復へ接続。ループやサンプルを積極的に組み込み、柔らかなモータリックビート、ゴムのように弾むベース、ダブ由来の空間処理、シネマティックなダウンテンポ、断片的な電子音を循環させることで、単に漂うだけだったサウンドへ明確な推進力を与えています。そこへ幾重にも重ねたギターの残響、ノイズの膜に包まれたヴォーカル、音の輪郭が溶け合うシューゲイズの感覚も濃厚に反映。轟音を前面へ押し出すのではなく、ファズとリヴァーブを柔らかな光のように拡散させ、夢の中へ沈み込むような奥行きを形成しています。足元では一定のグルーヴが前進し続けながら、その上を霞んだギターと電子音が無重力状態で漂う、陶酔と緊張、肉体性と浮遊感が同居した音響。従来のHOLY WAVEが持っていた無重力の浮遊感を捨てるのではなく、反復と余白を制御することで一段階研ぎ澄ませた作品。音の霧の中を無目的に漂うバンドから、その霧自体を意識的に設計するバンドへと変化し、サイケデリックロック、クラウトロック、シューゲイズ、ダブ、アンビエント、ダウンテンポ、エレクトロニカを自由に横断。BROADCAST、STEREOLAB、SPIRITUALIZEDの浮遊感とサイケデリア、THE POSTAL SERVICEの親密なエレクトロポップ、SWEET TRIPのドリームポップ/シューゲイズと電子音響が溶け合う感覚を、HOLY WAVEならではの霞んだアンサンブルへ昇華しています。ほかにもMOON DUO、WOODEN SHJIPS、LORELLE MEETS THE OBSOLETE、BEAK>、CLINIC、THE BLACK ANGELS辺りが好きな人にもおすすめ。混乱する時代に呑み込まれることなく、自らの居場所とリズムを静かに作り出した新たな到達点です。