USマサチューセッツ州アマーストが生んだオルタナティヴロックの重鎮「DINOSAUR JR.」による2026年作“There Near”がJAGJAGUWARからリリース。J Mascis、Lou Barlow、Murphというオリジナル編成で復活してから20年、再結成後6作目、キャリア通算13枚目、前作“Sweep It Into Space”以来5年ぶりとなるスタジオアルバム。約1年をかけ、アマーストにあるJ Mascis所有のBisquiteen Studioで短期集中型のセッションを繰り返して制作。ほぼ全編をJ、Lou、Murphの3人だけで録音し、地元の名手Ken Mauriが一部のピアノとオルガンで参加。Jの気怠いヴォーカルと泣きのメロディ、Louの暴れ回るベース、Murphの野生的なドラム、その上を巨大なファズと轟音ギターソロが突き抜ける、誰が聴いても一発でDINOSAUR JR.と分かる音ながら、惰性や焼き直しという言葉を寄せつけない強度で最初から最後まで突っ走ります。今作の大きな鍵となったのは、Jが新たに入手した70年代製Mesa Boogie MK Iアンプ。1stアルバム制作時にエンジニアのChris Dixonが所有していたものと同型で、長らく出せずにいた初期特有の荒々しいギタートーンへ再接近。近年の作品で培った分厚く開放的なサウンドへ、結成初期を思わせる獣のような歪みと刺々しさが加わり、緩く歌うヴォーカルとは裏腹にギターが感情のすべてを代弁する、J Mascis節が猛烈に炸裂しています。一見前向きにも聞こえるメロディの裏側には、孤独や諦念を第三者的な言葉で覆った捉えどころのない歌詞が潜み、Louが手掛けた楽曲では親しみやすいメロディの中へ、現在の政治や社会に対する鋭い視線を注入。異なるソングライティングを持つ2人と、楽曲を荒々しく前進させるMurphの演奏が噛み合い、原始的なロックバンドとしての迫力と円熟したメロディセンスを同時に成立させています。再結成後のDINOSAUR JR.が単なる過去の再現ではなく、オリジナル編成のまま新たなクラシックを積み重ね続けていることを改めて証明。初期の凶暴な音像、90年代に磨き上げられたメロディ、現在の3人だからこそ生まれる力の抜けた貫禄が同居し、新曲でありながら歴代の名曲群へ違和感なく並ぶ、爆音で鳴らしてこそ真価を発揮する全11曲です。